コヴェントリー・シティの起源は1883年、シンガー自転車会社の従業員が結成したシンガーズFCにさかのぼる。1898年に現在の名称へ改め、翌年からハイフィールド・ロードを本拠地とした。1919年にフットボールリーグへ加わった後の歩みは決して平坦ではなかったが、1930年代にはクラリー・ボートンが大量の得点を挙げ、のちにクラブ歴代最多得点者となった。今日まで続くクラブの個性が確立されたのは、1961年にジミー・ヒルが監督へ就任してからである。ホームカラーをスカイブルーに変え、クラブ全体に新しい発想と野心を持ち込み、1963-64シーズンにディビジョン3、1966-67シーズンにディビジョン2を制覇。初めてトップリーグへ導いた。
この昇格から、イングランドの最上位で34シーズン連続して戦う時代が始まった。リーグ優勝を争う機会は多くなかったが、創意工夫に富むチームづくり、魅力ある攻撃陣、そして何度も残留をつかみ取る粘り強さで存在感を示した。1970-71シーズンにはインターシティーズ・フェアーズカップに出場し、1970年代後半にはイアン・ウォレス、ミック・ファーガソン、トミー・ハッチソンらを擁する好チームも生まれた。その歴史の頂点が1987年のFAカップである。ジョン・シレットとジョージ・カーティスが率い、スティーヴ・オグリゾヴィッチ、ブライアン・キルクライン、シリル・レジス、キース・ホウチェンらが一丸となったチームは、決勝でトッテナム・ホットスパーを延長戦の末に3-2で破った。ホウチェンのダイビングヘッドはウェンブリーの名場面として語り継がれ、この優勝は今もクラブ唯一の主要タイトルである。
1992年にはプレミアリーグの創設メンバーとなり、ディオン・ダブリンやギャリー・マカリスターらを中心に、資金力で上回る相手と渡り合った。しかし2001年の降格で34年間のトップリーグ生活が終わると、長い苦難の時代へ入る。2005年にハイフィールド・ロードを離れたものの、新スタジアムへの移転は経営の安定につながらなかった。財政問題と所有権をめぐる争いによって本拠地から切り離され、2013-14シーズンはノーサンプトン、のちにはバーミンガムのスタジアムでホームゲームを開催した。成績も下降し、2012年にリーグ1、2017年にはクラブ史上最低となるリーグ2へ降格する。それでも同じ2017年、ウェンブリーでEFLトロフィーを獲得し、大挙して駆け付けたサポーターに久々の歓喜を届けた。
再建を主導したのはマーク・ロビンズ監督だった。2018年にリーグ2の昇格プレーオフを制し、新型コロナウイルスの影響で短縮された2019-20シーズンにはリーグ1優勝を果たした。チャンピオンシップ復帰後も、的確な補強と明確なチームづくりによって順位を上げ、2023年の昇格プレーオフ決勝ではPK戦の末、あと一歩でプレミアリーグ復帰を逃した。2024年のFAカップ準決勝でもマンチェスター・ユナイテッドを相手に劇的な追い上げを見せたが、再びPK戦で敗れている。一方、2023年にはダグ・キングがクラブを掌握し、2025年にはクラブがコヴェントリー・ビルディング・ソサエティ・アリーナを取得。長く分断されていたクラブと本拠地が、ようやく同じ所有のもとに置かれた。
そしてフランク・ランパード監督が率いた2025-26シーズン、コヴェントリーはチャンピオンシップを制し、25年ぶりのプレミアリーグ復帰を決めた。かつて最上位に定着していたクラブが、本拠地を失い、4部まで落ちながら、再び頂点の舞台へ戻ったのである。スカイブルーズの性格は、この長い軌跡そのものに表れている。ジミー・ヒルの革新性、1987年の優勝チームが残した共通の記憶、流浪の時代にも離れなかったサポーター、そして街との絆を保ちながら再建を遂げた粘り強さである。

