スイス代表は「ナティ(Nati)」の愛称で親しまれ、ヨーロッパにおける歴史ある代表チームのひとつである。スイスサッカー協会は1895年に設立され、ヨーロッパの中でも比較的早い時期に組織的なサッカー体制を整えた国のひとつだ。ドイツ語圏・フランス語圏・イタリア語圏が共存するスイスの多言語・多文化的な国民性は、代表チームの構成にも色濃く反映されている。
最も輝かしい時代のひとつは1930〜40年代で、1934年と1938年のFIFAワールドカップではいずれも準々決勝に進出した。1954年のワールドカップは自国開催となり、「世紀の試合」と呼ばれたハンガリー対西ドイツ戦が行われたこの大会でも、スイスはホームの地で準々決勝まで勝ち上がった。
2000年代から2010年代にかけては、移民ルーツを持つ選手たちが多数加わり、スイスの多様な社会を反映した黄金世代が形成された。この世代はワールドカップや欧州選手権への安定した出場を果たし、特にUEFA EURO 2020ではグループステージを無敗で突破し準々決勝へ進出するなど、存在感を示した。
現在のスイス代表はFIFAワールドカップやUEFA欧州選手権での優勝経験こそないものの、戦術的な規律とチームとしての団結力を武器に、主要大会への継続的な出場と競争力のあるパフォーマンスを維持している。複数の文化的背景を持つ選手が共存する点は、このチームのアイデンティティを象徴するものである。

