アブドゥルアジズ・ハテム・モハメド・アブドゥラーは1990年10月28日、カタールで生まれた。アスパイア・アカデミー、カタール・スターズリーグ、そして代表強化が一体化し始めた時期の国内育成環境で成長した選手である。若い頃から技術に優れた左利きの中盤として評価され、アクラム・アフィフやアルモエズ・アリを中心とする黄金世代が本格化する前から、代表の信頼できるセントラルプレーヤーとして地位を築いた。
クラブキャリアの大半は、アル・アラビ、アル・ガラファ、アル・ラーヤンといったカタール国内の有力クラブで過ごしてきた。アル・ガラファとアル・ラーヤンでは国内タイトルを経験し、試合のテンポを落ち着かせ、斜めのパスでピッチを広げ、ボックス手前へ遅れて入る中盤として知られるようになった。こうした経験が、後にカタール代表がアジアの頂点へ駆け上がる際の大舞台での落ち着きにつながった。
近年もカタール1部の重要な中盤選手としてプレーし、成熟期のキャリアでは特にアル・ラーヤンとの結びつきが強い。若いミッドフィールダーが出場時間を増やす時期に入っても、ハテムの価値はテンポ、立ち位置、そして無理に攻撃を急がずボールを守る判断を理解するシニア選手としての安定感にある。
カタール代表には2000年代後半にデビューし、同国代表の近代史を定義する中盤の一人となった。2019年AFCアジアカップ優勝では中心選手として活躍し、準々決勝の韓国戦で鮮烈なミドルシュート、決勝の日本戦でも印象的なゴールを決めた。その後も2021年ゴールドカップ、母国開催の2022年FIFAワールドカップ、そして2023年AFCアジアカップ連覇に関わり、カタールを地域の有力国からアジア王者へ押し上げた。
身長は約183センチの左利きセントラルミッドフィールダー。爆発的なスピードよりも、パス角度、リズムの制御、正確なキックを武器とする。カタール代表での役割は、より落ち着いたメーメット・ショル、あるいはよりポゼッション志向のアブドゥルアジズ・アル・ドサリを思わせる。潰し屋でも純粋な10番でもなく、チームのパス構造を整える接続役である。
