FC町田ゼルビアは、1977年に町田市で設立されたサッカースクールのトップチームとして1989年に創設された。母体となる企業を持たない市民クラブとして出発し、東京都社会人リーグの最下位カテゴリーから日本サッカーの頂点を目指す長い旅を歩み始めた。愛称「ゼルビア」は、町田市の木・ケヤキ(zelkova)と市の花・サルビア(salvia)を組み合わせた造語で、2009年にJリーグへの本格参入を目指す過程で採用された。
クラブは都道府県リーグから関東リーグ、日本フットボールリーグ(JFL)を経て、2012年にJ2へ参入。しかし最下位に終わり即座にJFLへ降格、その後J3を経由して2015年に再びJ2へ復帰するなど、昇降格を繰り返す「ヨーヨー時代」を経験した。J1ライセンスの未取得やスタジアム基準の未充足が上位進出の壁となり、長らく悲願の頂点に手が届かなかった。
転機となったのは2023年、青森山田高校の監督として実績を持つ黒田剛の就任だった。高い強度のプレスとハードワークを武器に87ポイントでJ2を制覇し、クラブ史上初のJ1昇格を果たした。2024年のJ1初挑戦では3位でフィニッシュし、失点数リーグ最少という堅守を示しながらAFCチャンピオンズリーグエリートの出場権も獲得。2025年11月には天皇杯で初優勝を遂げ、クラブ初の国内主要タイトルを手にした。宿敵の東京ヴェルディとの対戦は、クラブの歴史においても象徴的な一戦として語り継がれている。

